#011 「LG20/21クロニクル」

lg21chronicle ARCHIVE

作品紹介

“ソコハカ”の町にはたくさんの「ひゃっかいだてのいえ」が立ち並び、
地上を動くのは、リュックを背負った黒づくめのデリバリーの男たちだけだ。
「ひゃっかいだてのいえ」の一つに暮らす小学生の女の子が姿を消した。
その後、フリマサイトに彼女が身につけていたものが、一つづつ法外な値段で出品され始める。
犯人と思しき男からの電話が、「全て買い集めれば娘は帰ってくる」と告げる・・・。

大阪の町に林立し始めたタワーマンションと、町から姿を消し始めた公衆電話ボックスに想を得て、住人の膨大な口コミ情報をもとに創作した作品。
一階と最上階に別れた劇場を電話ボックスによる通話で繋ぎ、俳優が行き来する。
いずれかの劇場に振り分けられた観客は、互いに異なった側面から作品を鑑賞することになる。

公演情報

2021/12/16-19@江之子島文化芸術創造センター

作・演出

林慎一郎

キャスト

石原菜々子(kondaba) 、小竹立原、加藤智之、小坂浩之、畑中良太

日時・場所

2021年
12/16(木)14時/19時
12/17(金)14時/19時
12/18(土)14時/19時
12/19(日)11時/13時

会場は、1階と4階に分かれています。ご来場時にランダムに分かれてご覧いただきます。
複数回ご観劇の方は、観劇希望階をお伺いします。

受付は開演の40分前、開場は開演の20分前

@enoco(江之子島文化芸術創造センター)
〒550-0006 大阪府大阪市西区江之子島2丁目1−34[TEL] 06-6441-8050
地下鉄(大阪メトロ)千日前線・中央線「阿波座駅」下車、8番出口から西へ約150m。徒歩3分。enocoには一般向けの駐車場はございませんので、周辺のコインパーキング等をお使いください。

演出ノート

この一年、我々を取り巻く風景は一変した。正確には風景ではなく、それを受容する我々の態度が一変した。語弊を恐れずに言えば、風景は何も変わらなかった。

天災、人災による破壊と創造は目を奪う風景の変化とともにあると勘違いしていたのかもしれない。しかし、今回、それは風の中に起こった。そして「口から出るものが人を汚す」となり我々は口を覆った。注意深く言葉を発する日々の中で、画面の向こうで口を覆わず発せられる言葉は、もはや別の世界の話となり信憑性に薄い。「立ち止まること」は死を予感させ、恐る恐る、もしくは開き直って歩を進めるよりない。

「LG21クロニクル」は2020年度に上演を予定していた作品だった。

前年度に上演した、水没したと仮定した「オオサカ」を観客とともに回遊する作品「ジャンクション」を元に、その延長線上にある都市の未来を描く作品となる予定だった。しかし、その線は大きく折れ曲がった。その「風」の中に観客を晒すこと、語る言葉に観客を晒すことが生命と隣り合わせる環境を整えることができず上演を断念した。

来年度、この「風」と「言葉」を取り巻く環境がどう変わっているかわからない。

ウイルスとの戦いは科学に任せるしかなく、我々の表現その最前線に立つことは叶わない。

できることは記録することだ。そして、それを記憶するための言葉を探すことはできるのではないか。「LG21クロニクル」は、この現状の中、都市に生きる人々の言葉を丹念に拾い集め、大量のモノローグとして提示したい。それは連続した物語として観客の前に提示されるのではなく、あくまで切片として存在させ、観客はそれを選択可能な状態で鑑賞するスタイルとしようと思っている。

スタッフ

舞台監督:西恵美子(感動制作所)
舞台美術:柴田隆弘
照明:魚森理恵
音響:あなみふみ
衣装:大野知英
制作:奈良歩

共催:大阪府立文化芸術創造センター(enoco)
助成:芸術文化振興基金

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